呆然と立ち尽くしていた。思考が止まった。見惚れていた。絶句していた。
自分の中の全ての時が止まった。
この全ての表現が誇大では無く、その時自分を表す形容詞を全て記載するならば、こう言った表現の羅列になる。
ネット上で見たryoさんと攸紀さんが新しい何かを準備している。その情報に想像する事しか出来なかった。
しばらくしてそれがHOLLOWGRAMと言う新しいバンドとして顕在化したことを知りました。
そして今回、イベントのいちバンドとして観ることが、聴くことが出来る。会場に訪れた時、初音源を購入してから参戦致しました。
そして幕が開けて一曲目。妖しさ全開。エキゾチックなようで、単純では無い。その一音一音が緊張感に溢れている。ideologue。展開が変わった瞬間、魂ごと持って行かれた。
どういった経緯があったのかはわからない。ryoさんは、一度デザイナーとしてミュージシャンを引退し、シーンを去った、と記憶している。間違っていなければ。
9GOATS BLACK OUTでも異彩を放ち、個性を発揮していたが、自分の感性で言えば、格段に違う。ryoさんは、本気で帰って来たんだ。それも、以前を上回る形で。
申し訳無いけれどもryoさんを見るのも攸紀さんを見るのもこれがLIVEで初めてだった。でも確実に、今までに無いような音楽を生み出してくれるバンドが生まれたのだと、きっとその時は感動が心をブッ飛ばして理解することすら敵わなかったけど、そう思っていたのだと今は思います。
ジャジーなようなムーディーなようなButterfly in her dreamsを挟んで、しっとりたっぷりと染み入るように魅入られた後、ガラリと空気は変わる。
Stand the devil's like。メチャクチャだ。心の中は濁流に巻き込まれたように、あまりにも凄すぎるそのクオリティなのかセンスなのかその時は理解も出来ていなかったけれど、自然と身体は持って行かれて暴れ始めた。多分今まで聴いた音楽のどれにも当て嵌まらない。今、音楽の歴史を更新したその時に遭遇している。そんな事を考えていた。自然と笑みが零れる。どんな言葉を使ってもあの時の感動は多分表現が追い付かないだろう。全くの新しい音楽がそこにあった。
Preasance Liddellではリズムよく静と動を。Don't cry for the knellではメロディアスで美しいドラマティックさを。Don't cry for the knellは今ではHOLLOWGRAMの代表曲の一つでは無いかな。歌唱も演奏もその全てが素晴らしい。目も耳も記憶に刻み込むのに忙しかった。
mistletoeでは穏やかに優しさに溢れた、それでいてただのバラードでは収まらない、まるで木漏れ日の中の森林を思い描かせるような情景が浮かぶ。
全体を通して、時折音を発しない時の攸紀さんが、まるで日本刀を帯刀しているかのように、構えて弾いたり、収めたり。その姿は異彩を放つ武士のようでカッコ良かった。
終わってから思考に移るまでに本当に時間が掛かった。言葉にならない。鳥肌とかそう言ったレベルでは無い感動が身を包んでいた。HOLLOWGRAMってどんなバンド?と訊ねられたら、多分何一つ自分の言葉では説明出来ないと思う。今でこそ聴き慣れた楽曲もあるけれど、当時は本当に驚愕し、感動し、自分と言う人間の時が止まってしまった。それぐらい凄かった。
残念ながら現在では大好きなベースの攸紀さんが脱退してしまったけれど、ここから今現在の多才な快進撃を続けるryoさんが本格的に始動した気がする。他のメンバーも、後々お目にかかる事も現在ではあります。皆物凄い才能とクオリティを持ち合わせていますよ。
一番驚いたのは帰ってから聴いた音源は、何一つLIVEに敵わなかったと言う事。CDで聴くよりも、LIVEで聴いた方がその凄さを体感出来ます。もちろん音源も良いけれど、多分CDのキャパシティが伝えきれないんじゃないかと思いました。良く見直したらほぼファーストアルバムの再現LIVEだったんですね。素晴らしい。
音楽と言う全体の括りで言っても物凄く新しくて驚かされながらも聴きやすい部分があったり、音楽好きを唸らせるだけの実力があります。
HOLLOWGRAM。攸紀さんが脱退してしまったけれど、今後の活躍にも期待します。もちろん攸紀さんの今後の活躍にも目が離せません。
HOLLOWGRAM official site
http://www.hollowgram.net/LovelesS
http://yukiamano0116.tumblr.com/